佐賀県からの回答書に対する見解
- 2013年08月13日 08:43
平成25年7月12日、私たち「原発なくそう!九州玄海訴訟」訴 訟団は、佐賀県に対し、再稼働反対の申入れを行い、また、防災計画についていくつかの公開質問をしました。その質問に対する回答が出されましたのでご報告申し上げます。
要請書、回答書はコチラから→「声明・申入れ」ページからご覧いただけます。
1 回答書が出されるまでの経過
7月12日 公開質問状の提出(回答期限を19日と設定)
19日 回答はなく、連絡もない
24日 当方より佐賀県に連絡。遅れている理由は「内部で決裁をとっているから。」とのことだった。当方は、「既に決まっている内容を文章化するだけだから決裁にそれほどの時間がかかるのはおかしい。」と指摘し、「7月末までには回答を出されたい。」と要請した。
8月 2日 「佐賀県知事に対する要請書に対する回答について」が郵送により到着した。
2 回答の内容と私たちの見解
⑴ 佐賀県の「佐賀県知事に対する要請書に対する回答について」(以下「回答書」という。)は、結局のところ、「国任せ、市町村任せ、個人任せで何も決まっていない」というものです。
以下、それぞれの項目ごとにいくつか回答を選び出し、私たちの見解を述べます。
⑵ 私たちは、「(項目1の(1))県は、事故が起きた際の放射性物質拡散予測をたてていますか。(項目2)その際、県民の被曝を避けるために、SPEEDIの情報を活用する必要があると思いますが、県はSPEEDIの利用を計画されていません。事故が起きた際、県はどのようにして放射能拡散予測をするのですか。」との質問をしました。
これに対し、県は、「県において原子力災害時の放射性物質拡散予測はたてていません」と回答しました。災害に対する防災計画を立てるのにどのような事態が進展するかを事前にシミュレーションしておくことは基本中の基本です。それにもかかわらず、県は、「事故を想定して放射性物質の拡散状況を予測する場合、放出量・放出継続時間やその時の風向き・風速など、様々な仮定を置いて予測を行うことになり、その精度や信頼性には限界があるため、国においてシミュレーションを実施された際にも、あくまでも目安として参考にすべきデータである」とあたかも事故を想定した予測は必要ないかのような暴論を述べています。防災計画はあらゆる事故に備えて多様な想定(目安)のもとでたてられるべきものです。
⑶ 私たちは、原子力災害時の住民の退避又は避難を実現可能にする重要な準備の一つとして「(項目3の(4))玄海町の住民全てを避難させるのに、何台の車が必要ですか。その車はどのようにして調達しますか。」と質問しました。
これに対し、県は、「何台の車両が必要になるかをお答えすることは困難ですが」とし、「なお、災害の状況によって避難すべき地域の範囲は異なるため、原子力災害が発生すれば必ず玄海町の住民全てが避難しなければならないというわけではありません。」としています。
しかし、防災計画は最悪の場合を想定して作成すべきものです。実際、福島第一原発事故では、10㎞圏内はおろか20㎞圏内の地域の住民全てが避難しなければならなくなりました。県が、「全てが避難しなければならないというわけではありません。」と述べることは、相変わらず過酷事故は起こらないと高を括っていること(安全神話)を如実に示しています。
⑷ さらに「(項目4)放射線障害が出た場合の緊急医療についてうかがいます。」との私たちの質問に対する県の回答も、全く意味をなしていません。
例えば「(項目4の(4))仮に100名の急性症状患者が出た場合、どこに搬送しますか。」と質問に対し、県は、「関係機関との連携強化に取り組んでいきます。」と回答し、「(項目5)ヨウ素剤の配布」についても「検討を行っていきます。」と回答するだけです。県がたてている防災計画は、私たちが普通に思いつく易しい質問にさえ答えられない不十分なものです。
⑸ 佐賀県は原子力災害防災対策の一から十まで一切を国及び原子力規制員会の判断に従うことに専念し、佐賀県として県民を守る自発的、意欲的な姿勢が欠如していることが回答の至るところに見受けられます。
例えば、県は「県・市町の判断に基づいて防護措置を実施することとしつつ」と項目2に対する回答の中で述べていますが、私たちはまさに県」の判断を質問しているのですから、県自身が「県の判断に基づいて…」と回答するのは、まるで他人事のようなおかしな回答です。
また、「市町」の判断で、と項目3の質問に対して県は回答しますが、福島第一原発事故の際に避難範囲がどんどん拡大していったことからも明らかなように、放射性物質は市町村の境界を超えて拡散していきます。
したがって、市町村をまたがった横断的・統一的な対応を県が実施していかねばならないのですから、「市町」の判断に委ねることは県の怠慢です。
このように県民の命と健康をないがしろにする佐賀県の対応に憤りを覚えずにはいられません。
⑹ この度の佐賀県との質疑から得られた唯一の収穫は、「新潟県知事は、地域の安全を確保すること、住民の命と健康と安全を守ることが自体の首長の第一の使命と述べていますが、重大事故が起こった場合、佐賀県知事の責任をどのように考えていますか。」という私たちの質問項目6の(2)に対して「国及び事業者においては、新たな規制基準に基づき、現在、重大事故を発生させないための様々な取り組みが行われていますが、それでも事故が起きたときに国等と連携してどのように対応するのかといったことをあらかじめ決めておくことが原子力防災対策として県に求められていることと考えています。」との回答を得たことです。私たちは再稼働を決して許すものではありませんが、原発は稼働しなくとも過酷事故を引き起こす可能性をもっているからです。
⑺ 私たちは、県に対して説明会の開催も求めていましたが、拒否されました。何も決まっていないため、説明会の場で即答できないからだと考えます。
しかし、今後とも私たちは、前項(6)の佐賀県の回答を出発点として佐賀県と質疑を行い、引き続き説明会の開催を求めてまいります。また、市町に対しても、どのような防災対策を計画しているか、順次公開質問を行っていく予定です。
以上