佐賀県知事へテロ対策施設について申入れをしました
- 2019年06月27日 14:30
2019年6月25日
山 口 祥 義 様
ニュー寺元ビル3F
佐賀中央法律事務所気付
電話0952(25)3121,FAX0952(25)3123
特定重大事故等対処施設の事前了解をせず、
九州電力に対して玄海原発の稼働停止を求めてください
県政の諸課題山積する中、貴職のご奮闘に対し心より敬意を表します。
九州電力は、玄海原発3・4号機の特定重大事故等対処施設(以下「テロ対策施設」といいます。)の設置に伴う事前了解願いを提出しているところ、本年6月4日、県は、佐賀県原子力安全専門部会において、事前了解にかかる「判断を検討させていただきたいと思います」と述べられました。
しかし、私たちは、次に述べる理由から、事前了解をしないこと、さらにすすんで九州電力に対して原発稼働停止を求めるよう貴職に要請いたします。
1 テロ対策施設はテロ攻撃に対する有効な施設ではありません
原子力規制委員会が要求するテロ対策施設とは、中央制御室が攻撃されて制御不能になったときに代替施設となる緊急時制御室、及びフィルター付きベント設備、発電機、注水設備などです。
しかし、このテロ対策施設には、原子炉格納容器本体及び使用済み核燃料プール建屋が壊れないように強化する対策は含まれていません。例えば、欧州加圧水型炉(EPR)では、大型航空機が原子炉格納容器や使用済み核燃料プール建屋に直接突入した場合に備えて二重の格納容器が設置され、合計2.6メートルの二層のコンクリートで覆われています。
一方、玄海原発ではこのような対策は取られていません。玄海原発におけるテロ対策施設は、大型航空機の原子炉格納容器建屋への衝突というテロ攻撃に対して何ら有効性を持たないのです。
大型航空機を乗っ取ったテロリストは、原子炉格納容器の破壊を狙わないとでもいうのでしょうか。県民の安全を守るために、テロ対策として不十分なテロ対策施設設置の事前了解をすべきではありません。
2 テロが5年間待ってくれるはずがありません
テロ対策施設は、工事計画認可の日から5年間の間、設置が猶予されています。
しかし、これ自体とてもおかしなことです。
テロ対策施設が設置されるまで、数年もの間待ってくれるテロリストなどいるはずがありません。むしろ、テロ対策施設が未完成のうちに攻撃を仕掛けてくると考えるべきです。
テロ攻撃があり得る以上、県民の安全を守るために原発をすぐにでも停止すべきであり、事前了解などあり得ません。
3 県民の安全のために九州電力に毅然とした態度で臨むべきであり、根拠の曖昧な説明を受け入れるべきではありません
本年4月17日、九州電力は、テロ対策施設について、審査終了後5年(工事計画認可から5年)以内とする設置期限に間に合わないとの見通しを明らかにし、そのうえで原子力規制委員会に対して期限延長を求めました。このときの九州電力の説明では、玄海原発3号機(テロ対策施設設置期限2022年8月24日)、4号機(同期限2022年9月13日)のテロ対策施設設置の完了時期は未定であり、「最大限工期短縮に努めても超過する」とのことでした。
これに対し、同月24日、原子力規制委員会は、期限延長を認めない方針を示しました。
すると九州電力は、確たる根拠も示さないままに、本年5月16日、玄海原発3号機に関して期限内に工事を完了すると言及しました。
期限内にテロ対策施設を設置完了できないとの見込みであれば、原子力規制委員会から直ちに原発稼働停止を命じられる可能性があり、また、世論からの批判を免れません。それを回避するために、九州電力が具体的根拠もなく工事完了日に関する説明を変遷させたことは明らかであり、決して見逃してはなりません。
本年6月4日に開催された佐賀県原子力安全専門部会の中で、九州電力は、テロ対策施設の概要、これまでの経緯などを説明(専門委員と一般傍聴者へは白抜き資料配布)しました。しかし、テロへの秘密の保持を理由に、テロ対策施設の詳細は明らかにされませんでした。
県民の安全、安心を確保するためには、九州電力に毅然とした厳しい態度で臨むべきであり、曖昧な説明をもとにして事前了解の判断をすべきではありません。
4 最後に
私たち県民は、フクシマの教訓が踏まえられないままに原発の安全性が置き去りにされ、県民の安全・安心よりも原発稼働優先となっていることに大変な危機感を抱いています。
貴職の最も重大な職責は、県民の命と暮らしを守ることにあります。九州電力が原発稼働を優先して、県民の安全・安心を後回しにすることを決して許さないでください。
以上のことから、私たちは、貴職に対し、テロ対策施設にかかる事前了解をせず、さらに積極的に九州電力に対して玄海原発3・4号機の即時停止あるいは廃炉を求めるよう強く求めるものです。
以上