広島高裁の伊方原発稼働差止仮処分決定を受けての声明
- 2020年01月21日 14:14
広島高裁の伊方原発稼働差止仮処分決定を受けての声明
広島高裁は、本日、四国電力伊方原発3号機の原子炉を運転してはならないとの仮処分決定を下した(原審=山口地裁岩国支部)。
広島高裁は、その理由として以下の2点を述べている。
第1に、伊方原発のある佐多岬半島沿岸の活断層の詳細な調査が不十分である。震源断層が原発敷地に近い、すなわち、敷地から2km以内の場合には特別の評価をしなければならない。佐多岬半島沿岸の地表断層は原発から2km以内にあるのに十分な調査がなされていないから、規制委員会の判断には過誤欠落があり、人格権侵害の疎明がされたといえると判示した。
第2に、火山の噴火の影響評価について、破局的噴火に至らない程度の最大規模の噴火(噴出量数十㎦)の噴火規模を想定すべきところ、その噴出量を20~30㎦としても四国電力が想定する噴出量の約3~5倍になるから、四国電力の想定は過小で、過小な想定を前提とした本件設置変更許可申請も不合理であると判示した。
2011年の福島第一原発事故以来、我が国の原発の安全性に対する信頼は大きく崩れ、現在においても、原発の再稼働に反対する市民の方が多数である。原発の危険性は国民の8割以上が認識する事柄となっている。
司法においても、いくつかの裁判所で、原発の差止認容判決や仮処分決定が出ている。そして、その差止の理由、すなわち、原発の危険性の根拠がどんどん拡がってきていることを指摘できる。すなわち、福井地裁樋口判決(関西電力大飯原発)での基準地震動の信頼性の欠如等の指摘、2017年12月14日の広島高裁即時抗告審決定(四国電力伊方原発)での火山の破局的噴火の危険性の指摘に加え、本日の広島高裁の決定は、活断層の調査不足と火山の降下破砕物の影響での危険という新たな危険原因を指摘したのである。
玄海原発でも火山の破局的噴火の危険や降下破砕物の影響等、何ら伊方原発と変わらない。
本日の決定が司法の良心を示すものとして高く評価し、我々は、従来通り、訴訟を通じて玄海原発の廃炉並びに全国の原発の廃炉を目指し、全力を尽くすものである。
2020年1月17日
「原発なくそう!九州玄海訴訟」原告団・弁護団