原発なくそう!九州玄海訴訟

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大飯原発運転差止訴訟、原告勝訴判決を受けての「声明」

  • 2014年05月21日 19:30

大飯原発の3・4号機の運転差し止めを求めていた訴訟で、福井地裁は、今日午後3時、運転差し止めを認める原告勝訴の判決を言い渡しました。

 

これを受け「原発なくそう!九州玄海訴訟」原告団と弁護団は記者会見を行い、「声明」を発表しました。

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                         声 明 

                                      2014年5月21日

                    「原発なくそう!九州玄海訴訟」原告団・弁護団

 

本日、福井地裁は、大飯原子力発電所3・4号機の運転差止訴訟において、同発電所から250㎞圏内の原告との関係での運転差し止めを命じる判決を言い渡した。本判決は、3・11の福島第一原発事故後に提起された脱原発訴訟として初めての判決であり、その判決で、原発の運転差止めが命じられた意義は大きい。我々原告団・弁護団としても、司法の「原発安全神話」からの離脱の第一歩として高く評価する。

 

同地裁は、以下のように判示した。

①個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益の総体が人格権であり、それを超える価値を憲法上見出すことはできない。それに対し原発の稼働は法的には経済的自由に属するもので、人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきもの。この根源的権利が広範に奪われる事態を招く可能性があるのは、大規模自然災害や戦争以外では原発事故のほかは想定し難い。よって、万が一でもこのような原発事故を招く具体的危険性があるのであれば、その差止めが認められるのは当然である。

 

②施設の損傷に結び付く地震が起きた場合、原発では「止める」「冷やす」「閉じ込める」の3つがそろって初めて原発の安全性が保たれるが、本件原発では「冷やす」機能と「閉じ込める」機能に欠陥がある。

 

③「冷やす」機能については、1260ガルを超える地震によってこのシステムは崩壊する。地震学の限界及び頼るべきデータが極めて限られていること、わが国最大の地震は4022ガルであり、それも有史以来最大ではないことからすると、本原発に1260ガルを超える地震が到来する危険がある。

 

④700以上1260ガル未満の地震についてイベントツリーが有効に働くと被告はいう。しかし、第1の事故原因につながる事象をすべて取り上げること自体困難であり、いったん事故が起きれば事態が深刻であればあるほど適切かつ迅速に措置を取ることは困難である。また、基準地震動の信頼性について、現に全国で20か所にも満たない原発のうち4つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が平成17年以降10年足らずの間に到来しているという事実を重視すべきであり、本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見いだせない。

 

⑤700ガル未満の地震によっても外部電源が断たれ、かつ、主給水ポンプが破損し主給水が断たれるおそれがある(福島第1原発の例)。

 

⑥この地震大国において大飯原発に基準地震動が到来しないというのは根拠のない楽観的見通しに過ぎない上、基準地震動に満たない地震動によっても冷却機能喪失による重大な事故が起こり得るのであれば、この施設の在り方は原発の有する本質的危険性についてあまりにも楽観的である。

 

⑦「閉じ込める」機能についても、使用済み核燃料の保管状況は、同プールから放射性物質が漏れたとき、外部放出されることを防護する堅固な設備は存在しないなど、楽観的な見通しのもとに初めて成り立ちうる脆弱なものである。

 

⑧被告は原発が電力供給の安定性・コストの低減につながると主張するが、極めて多数の人の生存そのものにかかわる権利と電気代の高い安いを並べて論じる議論に裁判所は加わらないし、その当否を判断すること自体法的に許されないことである。また、原発がCO2削減に資するものとの主張に対しては、福島第一原発事故はわが国始まって以来の最大の公害、環境汚染であることに照らすと、運転継続の根拠とするのは甚だしい筋違いである。

 

同判決は、原発を稼働する利益に対する人格権の優位性、福島第一原発事故をわが国最大の公害であり、戦争や大規模自然災害以外では類例を見ない深刻な人格権侵害であること、地震等の想定が楽観過ぎる見通しのもとに成り立っていること、いったん事故が起きれば「冷やす」「閉じ込める」機能を万全にすることはできないことなどを述べ、私たちの主張と基本的に軌を一にしている。

 

この判決から言えば、国の規準に適合しているから原発は安全だという電力会社等の主張は誤っていることになる。さらに、再稼働の審査に用いられている新制規準も楽観的見通しのもとに作られているものなので、安全性を確保する規準ではないこともより一層明確になった。

 

そこで、私たち訴訟の原告団・弁護団は、以下のことを要求する。

 

                          記

 

1 福井訴訟の被告関西電力は、本日の判決を受け入れ、控訴しないことを要求する。

2 原子力規制委員会は、全国の原発の新規制基準適合性の審査を中止するよう要求する。

3 九州電力はじめ全国の電力会社は、すべての原発の再稼働をしないよう要求する。

 

以上、声明する。

 

【判決要旨全文】かなり思い入れのある文章で明快に述べられているとても素晴らしい判決内容ですので、ぜひみなさまお読み下さい。firestorageからダウンロードしてください。

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