9.27 原子力規制委員会の玄海原発現地調査に抗議しました
- 2013年09月30日 14:45
9月27日、新規制基準適合審査に対する抗議行動に参加してきました。
朝7時から9時、玄海原発正門ゲート前で抗議行動が行われました。
朝早い時間にもかかわらず、数十名もの人が押し寄せました。中には、長崎や福岡、熊本から来られた方も。
皆で順番にリレートークを行い、新規制基準自体の不合理性、汚染水問題が国際的問題になっているにもかかわらず原発再稼働に前のめりになる国や電力会社の問題点を次から次へと指摘しました。
いつ原子力規制委員会が来るのかと、私たちは立ちっぱなしで待ちましたが、待てども待てども原子力規制委員会は来ません。集会終了予定の9時ころ、報道関係の方から、私たちの知らないうちに原子力規制委員会がこっそり玄海原発内に入ったことを知らされました。審査に自信があるならば、堂々と入ればいいのに。参加者からは改めて新規制基準適合審査に対する怒りの声が上がりました。
最後に、各参加団体から、要請書や抗議書が渡されました。私たち訴訟団も提出しましたのでぜひご覧ください。
弁護団・稲村蓉子
形式だけの新規制基準適合審査に抗議する
2013年9月27日
九州電力株式会社
代表取締役 瓜 生 道 明 殿
原子力規制委員会
委 員 長 田 中 俊 一 殿
原発なくそう!九州玄海訴訟 原告団・弁護団
原告団長 長谷川 照
弁護団共同代表 板 井 優
1 本年7月12日、九州電力は原子力規制委員会に対し、新規制基準への適合審査を求める申請を行った。原子力規制委員会は、これを受理し、新規制基準への適合審査手続きを進めつつある。
2 しかし、新規制基準は、次に述べるとおり、基準そのものに合理性がないので、そのような基準に適合しているか否かを審査することの正当性はない。
問題点の第一は、2011年3月11日に起きた福島第一原子力発電所の事故原因が明らかになっていないにもかかわらず新規制基準が策定されたことである。福島第一原子力発電所の1号機から4号機が全交流電源喪失に陥った原因については、人がその内部に立ち入れないため、解明できない状態である。国会事故調査委員会も、事故調報告書で、正確な原因はいまだ不明であること、地震や老朽化が事故に何らかの影響を及ぼしたことを断定的に否定することはできないと指摘している。原子力規制委員会は、事故の原因追及よりも、「10か月以内に基準を施行する」という目標に固執し、新規制基準を拙速に策定したといわざるをえない。
問題点の第二は、原子炉立地審査指針が見直しの対象とされておらず、重大事故に対する立地評価がなされていない点である。福島第一原子力発電所の事故による放射性物質放出量を踏まえれば、今ある原子力発電所が全て不適合になることから、あえて立地評価を行わなかったとしかいいようがない。原子力規制委員会は、重大事故が起きた際の周辺住民の生命を守ることを放棄したといわざるをえない。
問題点の第三は、特定安全施設の設置について5年間の設置猶予期間が設けられていることである。明日にも何らかの原因により過酷事故が起こる可能性があるにもかかわらず、5年間の猶予期間を定めたことは安全性の確保と矛盾する。原子力規制委員会は、新規制基準を定める際に放棄すると宣言した「安全神話」を復活させたといわざるをえない。
3 新規制基準には以上に述べた以外にも様々な問題があるが、それらに加えて強調されねばならない点は、福島第一原子力発電所の事故は2年半を経ても未だ収束しないまま放射能汚染を拡大し続けているのに、新規制基準適合審査のために人的・物的資源を傾けることの愚かしさである。本年8月、福島第一原子力発電所の汚染水貯蔵タンクから300トンもの汚染水が漏れだしていることが判明した。その後も、汚染水の漏出が次々に発見される始末である。水位計もなくフランジ型という脆弱なつくりとなっているタンク群から、今後も次々に汚染水の漏出が続く危険性は高い。タンクからの汚染水流出問題に加え、山側から海側へと流れる地下水の汚染も重大な問題となっている。
この点で我が国は、国際的な非難、批判にさらされている。それにもかかわらず、その最中に原発の再稼働手続ごときに人的・物的資源を傾ける日本政府及び原子力規制委員会には国際感覚が欠如しているといわざるをえない。人類共通の財産である海を守るためにも、汚染水のこれ以上の海洋流出は絶対に防がねばならない。原子力規制委員会は、汚染水問題にこそ全ての人的・物的資源を投入すべきである。
4 私たちは、以上の理由から、「新安全神話」を前提に策定された「新規制基準」適合審査に強く抗議し、玄海原子力発電所の再稼働をしないことを求めるものである。以上